中国ゴールドラッシュを狙え

テレビでもおなじみの、財部誠一による一冊。
取材を通して、中国の今を伝えようと言う本だ。

中国ゴールドラッシュを狙え

正直に言って、印象論だけで終始している感じがした。

どうも、筆者の中に中国は未来の超大国だと言う像があるようだ。
一冊を通して、そのイメージを補強することだけが書かれている。

中国にとって有利な部分は大きく書くが、不利な部分は些細なことであるかのような印象を与えようとしている。
とても、冷静に分析できているとは思えない。

amazon.co.jp のレビューを見ると、他の方は大変に良い評価をしているだ。
私には、なぜ良い評価が付くのかさっぱり理解できない。

データの裏づけがほとんど無い

なんと言っても気になるのが、データの裏づけがほとんど示されていないと言う点だろう。

想定する中国の未来像が、彼の中にあるようだ。
そして、中国でこんなこと見たよと、補強すると言う書き方がされている。

例えば、彼の中で中国は内需が増えると言うのが規定事項のようだ。
しかし、どの程度内需が増えたのかというデータは示されていない。

内需が伸びる可能性は否定しないが、俺が伸びると思うから伸びると言うのではね。
ちょっと納得が出来ない。

分析が欠けている一例を

筆者に冷静な分析が欠けていると思われる、端的な例を一つ挙げよう。

筆者は本の最後のパートで、企業に中国進出をすすめている。
しかしながら、中国に進出した日本企業10のうち7は、中国で失敗しているとも書いている。

このような状況で、なぜ中国進出をことさらにすすめるのだろう?
それだけ失敗する確率が高いのなら、違う地域を選ぶ方が合理的ではないだろうか?

工場を作るなら、東南アジアに作ってもコストはそれほど違わないだろう。
現地の労働者との関係も、中国よりはうまくいきやすいはずだ。

市場として考えるなら、ブラジルではなぜダメなのだろうか?

世界に日本と中国しか国が無いわけではない。
失敗する確率が高い中国を推すのなら、それなりの合理的な説明が必要ではないだろうか。

特に、世界戦略を必要としない中小企業は、中国を選ぶ必然性は小さいはずだ。
確率の高い国を選べば良い。

論理の飛躍も気になる

上に挙げた部分もそうだが、論理の飛躍が見られるのも気になる。
これも具体例を挙げてみよう。

ならば日本人の取るべき態度は二つしかない。

世界一の経済大国へ変貌していく厄介な隣人に対して、その問題点ばかりをあげつらったり、過去の中国ビジネスで日本企業が味わったネガティブな側面をことさらに強調して、時代遅れのイデオロギーから来る嫌中思想に取り憑かれたままの態度を取ること。

もうひとつは、厄介な隣人に食らいつき、その経済的発展を日本の国益や、自社の成長発展に何が何でもつなげていくと言う態度だ。

「世界一の経済大国へ変貌していく」なんて断定していいのかと言う問題はあるが、そこは置いておこう。
それ以上に気になるのが、上に挙げた二択しかないという言い方が気になる。
これではいくらなんでも視野が狭すぎる。

例えば、ほどほどの距離感で付き合うと言う選択肢があったって良いだろう。
実際、ほとんどの国とは、そういう付き合い方をしているではないか。

中国が成長し、大市場になると思う企業は進出すればいい。
しかし、他の選択肢を取る企業があったって良いはずだ。

日本国を挙げて、中国に接近しないと未来は無いというような言い方は論理的に筋が通らない。
イメージを先行させ、論理が飛躍していると言わざるを得まい。

タグ: , , , ,

関連した記事を読む

コメントは受け付けていません。